日経ビジネススクール主催セミナー「デジタル×アナログ=文理融合で進化する営業」に神田昌典が登壇しました

2017/6/13

神田昌典が監訳を務めた『アクセル~デジタル時代の営業 最強の教科書』(マーク・ロベルジュ著)が、
祥伝社より刊行されたのに合わせ、6月2日、東京・大手町の日経カンファレンスルームにて、
日経ビジネススクール主催によるセミナー「デジタル×アナログ=文理融合で進化する営業~第一人者が語る!優れた『理系』部脳が、いかにして日本の『文系』営業組織を再構築するのか」が開催されました。

4部構成のこのセミナーで、
神田は、第2部の講演と、第4部ディスカッションのモデレーターを務めました。

第1部のスピーカーとして登壇したのは、
日本オラクルの初代代表で、サンブリッジグループの最高経営責任者CEOのアレン・マイナー氏。
「グローバル急成長企業の共通点を読み解く」として、流暢な日本語で講演を行いました。

マイナー氏は、オラクル社において優れた営業手腕を発揮した3人の人物を紹介。

そのうちの2人、シーベル社の創業者となったトム・シーベル氏と、
セールスフォース・ドットコム会長兼CEOとなったマーク・ベニオフ氏は、ともにエンジニア、
つまり理系頭脳の持ち主で、緻密なマーケティングに基づく営業スタイルを定着させました。

もうひとり、マイナー氏の後に日本オラクルの代表取締役社長に就任した佐野力氏は、
それとは対照的に、ブランド広告、キャラクター・デザイン、
より多くの見込客に間口を広げたイベント企画などに実績を残しました。

オラクル社においては、
まさにデジタルとアナログの融合によって、強力な営業体制が築かれてきたわけです。

マイナー氏は、技術の世界においても、市場シェアをとるためには、
製品の技術力と同等に、あるいはそれ以上に、営業力が重要であると強調しました。

続く第2部では、
神田が「AI営業の破壊力 デジタル×アナログ=文理融合で進化する営業」と題して、講演。

科学的思考に基づく営業力の強化によって、企業の業績を伸ばす具体的方法を説く
『アクセル』の内容に触れながら、最新技術を営業に活かすには何が必要かについて述べました。

文理融合を阻む要因として、神田がまず挙げたのが、マーケティング部隊と営業部隊の分断。
これをスムーズに連携しない限り、有効なデータ活用ができず、
マーケティング・オートメーションなどの最新技術を導入しても成果は望めないと指摘しました。

また、人間が最新技術に翻弄される危険性についても言及。

マーケティング・オートメーションやAIが、
マーケティングや営業活動を最適化してくれたと思うのも束の間。
もし同じ技術をライバル会社が導入したら、AI同士の競争になり、
行き着く果ては消耗戦という事態もありえると警告を発しました。

そうならないためには、テクニック最優先で走り出すのではなく、
最も大切にするべきものを明確にしておくことが重要。

それが、企業文化です。

企業文化を礎に持ちながら、未来を志向する企業こそ、
大きな成長カーブを描くことができるだろうと進言しました。

第3部では、
「文理融合のセールス革新~日本企業の伝統的営業組織が取り入れるべきこと」と題して、
リブ・コンサルティング常務取締役 権田和士氏が講演。

これからは、顕在化している顧客の課題を解決するソリューションセールスのみならず、
まだ顧客が気付いていない課題を探し出して提案・訴求する
インサイトセールスを実現していく必要があると提言。

これには、WHAT、HOWを追求する理系頭脳だけでなく、
WHYを追求する文系頭脳
が必要だと述べました。

第4部では、アレン・マイナー氏、権田和士氏に加え、
サンブリッジ代表取締役社長の小野裕之氏がパネリストとして参加。

神田がモデレーターを務め、
「優れた「理系」部脳が、いかにして日本の「文系」営業組織を再構築するのか」
をテーマにディスカッションが行われました。

小野氏は新旧の営業プロセスの違いを、
かつてはコールドコールから始まり営業が訪問してはじめてニーズ収集にとりかかっていたものが、
今はインサイドセールス(電話営業部隊)により
リード・ナーチャリングが済んでから営業に引き継がれるようになったと解説。

マイナー氏はこれを受けて、
「インサイドセールスは若手営業の教育の場としても意義があります。
マニュアル化が可能なセールスプロセスをここで会得し、その後、
クリエイティブなスキルが必要なフィールドセールスにステップアップしていくのです」
と、副次的効果について述べました。

「営業改革はどこから火がつくのでしょうか」という神田の問いかけに対しては、
権田氏が「確信犯的に営業の実験をする人が登場し、ベストプラクティスをつくることが必要」と回答。

マイナー氏は、「中小企業向けにセールスフォースが開発したSaaSのビジネスモデルは、
実際には大企業の“イケてる営業部長”が、自分の営業部隊で使い始めたことで広がっていった」
と米国での経緯を紹介。

最新技術を取り入れて、進化を続ける営業手法。
しかし、効率を追求するあまり、本質を見誤っては、本末転倒です。

「ツールのデジタル化に追いついていくことは最低限必要ですが、
その上でどう差別化するかは、アナログの部分での勝負になるのだと思います」と権田氏。

神田は、
「デジタル化についていく過程で重要なことを忘れていく企業もあるのではないかと思います。
“イケてる営業部長”が、部下を巻き込みながら、
その部署らしい、人間らしい営業をしていくときに、何かが大きく変わっていくのでしょう」
と締めくくりました。



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