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前書き公開[1] おもてなし幻想 デジタル時代の顧客満足と収益の関係

2018/8/12

■ 日本の「おもてなし」は、単なる「おせっかい」だった?

まずは、この本を読む価値を
あなたに手間をかけることなく、シンプルにお伝えしよう。

パラパラと本書をめくってみると、数ページごとに図表が目に飛び込んでくる。

総図表数61点、しかも、そのひとつひとつは、
顧客97,176人を対象とする調査の分析結果を凝縮したエッセンスだ。

一点一点が、ひとつのプレゼンテーションの題材になるほどの情報価値がある。

原書”The Effortless Experience”を手にしてからというもの、
私は講演会で、本書の調査結果を引用することが多い。

なぜなら本書は、複雑に絡みあって動けなくなった組織を動かし、
顧客が買いつづける事業へ改革するために必要な、データの宝庫だからである。

また、そうしたインパクトのある情報を、
原題のとおり“努力いらず”で、伝えられるからだ。

たとえば今、あなたにご覧いただきたいのは、
20ページの図1.3「カスタマーサービスがロイヤルティ与える影響」だ。

今までのビジネス常識では、期待以上のサービスを提供すれば、顧客ロイヤルティ
―― すなわち顧客であり続ける期間や、顧客がもたらす価値は、
著しく高まると考えられている。

しかし調査結果は、それが幻想だったことを明らかにする。

顧客の期待を上回るサービスの提供は、
ロイヤルティにとってほとんどメリットがないというのだ。

さらに幻想だったのが、カスタマーサポートと顧客とのやりとりは、
ロイヤルティを高めるという常識だ。

図1.5「カスタマーサービスが顧客ロイヤルティに及ぼす影響」(P31)によれば、
カスタマーサポートと顧客とのやりとりが発生すれば、
ロイヤルティを高めるどころか、4倍もの悪影響を及すという。

誤解をおそれず言うなら、顧客の期待を超える「おもてなし」は、
業績にはほとんど関係がなかったということだ。

統計的分析によれば、顧客ロイヤルティを高めるのは、「顧客に手間をかけないこと」。
それだけが、有意な相関関係を示したという。

本書はこのように、いままでビジネスで常識と思われてきた通念を、次から次へと覆していく。

その結果――、私たち日本人にとって、大きな疑問を突きつけることになった。

今まで顧客満足を高めるために取り組んできた「おもてなし」とは、いったい何だったのか?

■ 営業ノウハウを突き詰めた先に、見出した領域

研究結果によれば、顧客サービスはそこそこでよく、
顧客に手間をかけさせないことが重要だということだ。

「ならば、この本は、おもてなしを止めろというんだな」と、
早急な結論を下すのは、ちょっと待ってほしい。

なぜなら本書が見出そうとしているのは、
「顧客の期待を超えるサービスは必要か、必要なしか?」という
単純曖昧な問いの答えではなく、
「顧客満足と収益とのバランスを保たなければならない中で、
カスタマーサービスは、どんな行動にどれほどの労力を費やすべきか?」という、
具体的行動をもたらす問いの答えだからである。

これは「働き方改革」を進めていくうえで避けてはとおれない大切な問いだろう。

いままで長時間働くことが美徳とされた環境下で高められてきた日本の「おもてなし」は、
もはや次の段階へと進化しなければならない。
そのための糸口をつかむために必要なデータの宝庫が、あなたが手にしている本書なのである。

 



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