日経MJ 2017年12月10日掲載

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神田昌典の「未来にモテるマーケティング」隔週月曜日掲載

日経MJ 2017年12月10日掲載

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ビットコイン導入のススメ―「業界初」になるチャンス

 あなたの会社では、ビットコインで、商品代金を支払えるだろうか。もしそうなら、近い将来、顧客が予想以上に集まってくるかもしれない。
 なぜならビットコインは2017年に入ってから暴騰。11月には価格が年初から10倍以上になった。今後、資産効果により、ビットコイン・オーナーがコインを使える先を探し出すことは十分考えられる。
 訪日観光客対策もあり、ビックカメラは、いち早くビットコイン決済を全店舗で導入。メガネスーパーや旅行代理店のエイチ・アイ・エスも支払いに対応している。こうした動きに追随し、あなたの会社でも導入すれば、「業界初」「地域初」として注目されるチャンスは大きい。
 ご存知のとおり、14年に取引所のマウントゴックスが破綻したことで、ビットコインは、もう終わったと思われていた。だが現実は逆。17年4月、世界に先駆けて、日本が仮想通貨法(改正資金決済法)をまとめ、税制を含めた法整備をした。その結果、安心した投機資金がビットコイン市場に流れ込んだ。7月には日本のビットコインの月間取扱高が6千億円を突破。今や日本は世界のビットコイン取引総額の約6割を占める最大市場になっている。
 ビットコインを店舗で扱う手続きは、意外と簡単だ。国内最大手の仮想通貨取引所のコインチェックの大塚雄介COO(最高執行責任者)によれば、登録はネット上だけで10分で完了。メールアドレスと電話番号を入力すれば、おしまい。顧客によって支払われたビットコインは、すぐさま円に変換でき、翌日には振り込まれる。決済手数料は1%で、他の決算手段と比べてもメリットは大きい。
 「でも、神田さん、ビットコインって危ないんじゃ?」といわれるかもしれない。投機としては当然リスクはある。また利用者数が、現状は限られるが、支払いの選択肢を増やせば、顧客数が増えることはマーケティングの定石だ。だからリスクとメリットを十分に勘案し、導入を検討すべき、というのが、マーケターとしてのアドバイスだ。
 私自身はビットコインの取扱店舗数が、日本で拡大していくことにワクワクしている。中国では、すでに「アリペイ(支付宝)」という支払い手段が5億人のユーザーを獲得。タクシーでも小さな店でも、現金を使わずに簡単に支払いできる。その中国からの旅行客が日本にくると、現金を使わなければならない場合が多く、日本は周回遅れとの印象を与えている。
 しかし日本でビットコイン取扱店舗数が増え、東京五輪までには、仮想通貨の浸透が進み、両替所に行かなくてもいいという利便性を、観光客に提供できるようになるだろう。今の現金主義の日本からすれば夢物語だが、そもそもビットコインを発明したナカモトサトシという人物すら実在するかわからない。
 日本が仮想通貨大国になることをきっかけに、国際金融分野でも、日本が主導権を握れる日がくる――。そんな大きな夢を描きながら、私の会社では、ビットコイン決済対応の準備を始めようと思っている。