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シニアが働きたい洗車サービス ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」1/29号

2018/2/5

「働き手がいない……」と多くの会社が嘆くなか、シニア層が喜んで働きにくる仕事がある。
それは一般社団法人日本洗車技術指導協会がはじめた無水洗車ビジネスだ。

この事業は、「無水」の文字どおり、水を使わずに、特殊な洗剤で車を拭いて、
車をピカピカに磨き上げるというビジネスである。
場所に左右されることがないので、
お客の自宅やゴルフ場などに訪問して車を磨くことができる。

このビジネスが、お客だけでなくシニア層の働き口としても好評なのはなぜか。
それは1日のうち、ほんの数時間で心身の健康に良い仕事ができるからだ。

定年後の男性の多くは、限られた人との交流しかしなくなり、家に引きこもりがちだ。
そうなると、体を動かす機会も少なくなる。
しかし、内心はもっとアクティブに過ごしたい意欲を持っている。

長時間動くのは体がつらいし、遠くに行くのは面倒なので、
適度に行動できればいいと考えているのである。

この協会と事業を立ち上げた上谷光彦さんは、
以前から東京・神田でシェアオフィスを展開するなかで、
そんな定年後の男性のニーズを感じ取っていた。

シェアオフィスでも、入居を検討しているシニアが「名刺がなくなることが悩み」だと知り、
名刺の肩書を考えて1箱分の名刺をプレゼントするサービスを始め、契約者を増やしたという。

そうした経験を踏まえて、上谷さんは、
シニア層のニーズに合わせた形で、洗車スタッフを募集した。

大きな特徴は、労働時間は月8日以内、1日5時間以内に限定。
仕事場は、スタッフの家から徒歩圏内に限ったことである。

これなら、身体を定期的に動かせる上、短時間で終わるので、体の負担も少ない。
もともと複雑な仕事ではないので、始めるハードルも低い。

お客が喜ぶ顔が直接見られることもうれしいことだ。
顔見知りになれば、世間話などもして、心を通い合わせられる。
働き手にとっても癒やされる居場所になる。

この条件で募集をかけたところ、シニアの働き手が次々と集まってきたそうだ。
事業は順調で、リピート性も高く、上谷さんは手ごたえを感じている。

このように、限られた時間を使って柔軟に働くことができる仕事を求めているのは、
シニア男性に限らないだろう。

たとえば、「介護の関係で、都会から地方の実家に戻りたいけれども、
時間の制約のなかで働きたい」という人は、その典型だ。
子育てをしている主婦のなかにも、短時間だけ働きたい人は大勢いる。

しかし、売り手市場のはずなのに、そういう柔軟な仕事は、まだまだ不足している。
さらに、人が喜んで働ける仕事という意味では、もう圧倒的に足りていないのである。

もし、あなたの会社で「人がいない」と嘆いているならば、
会社の仕事のなかで楽しく心身の健康に役立ち、
時間が自由になる仕事を切り出せないかどうか、考えてみてほしい。

そうした仕事が提供できれば、あなたの会社にはやる気のある人が集まり、
未来に応援される会社になるはずだ。

▼ 本事例に関連し、シニアビジネス立ち上げにとても参考になるのが、
神田昌典による経営者インタビュー『大戸屋 お家騒動の真相』。
急逝したカリスマ経営者・三森久実氏の息子で、お家騒動に巻き込まれた智仁氏が、
その泥沼から掴みとった、未来に向けて成長せざるを得ない、新ビジネスモデルとは?

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