ホームページのズレ改善 ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」23/2/27号

2023/3/7

見込み客は今までの何倍も集まっているのに、成約率が大きく下がっている。
そんな悩みを抱える企業が多いのが、今年の特徴だ。
景気の先行き不安や光熱費の大幅上昇によってお客様が守りを強化していることが背景にある。

そのなかで取り組むべきマーケティング施策とは何か?

ショート動画を使った拡散力の強化やツイッターを使ったソーシャルセリングなど、
SNS(交流サイト)を使った取り組みが全盛だが、私の意見は異なる。
取り組むべきは「ホームページの改善」だ。

なぜか。
それはSNSマーケティング以前に、そもそものホームページの内容が古くなっているからだ。

コロナ禍に立ち向かい企業努力をしてきた会社は、
この3年間で新しい社会環境に応じた商品やサービスを開発している。

しかし、ホームページを更新していないので、
進化した会社の現状とホームページの情報に大きなギャップが生じている会社が多い。

そのズレを整え直す良い機会が2023年の前半である。

私がそんな意見を持つに至ったのは、浜松市の三光製作の事例がきっかけだ。
同社はめっき加工を主な事業としている創業70年の金属加工会社だ。

一般的にめっきは差別化しづらいとされているが、
三光製作は光の反射が抑えられることから光学機器で重宝される黒めっきや、
独自技術で抗菌機能をもたせた「抗菌富士」など、高付加価値のめっきを手がけている。

環境保全や社員教育にも力を入れていて、毎年継続的に成長している。

しかし、ナンバーワンといえるものがないという。
それがないと、この情報化社会でホームページから発信しても埋もれてしまう。

ただ、「私の会社は突出したものがない」という会社にもナンバーワンが隠れていることは多い。
そこで取り組んだのが、分野別の強みを見つけ出し、ホームページを整え直すことだ。

すると思いがけないところからナンバーワンが見つかった。それは「女性活躍」だ。
男性社会のめっき業界にありながら、女性比率が35%もあり、国家資格のめっき技能士を取得した女性たちが活躍している。
日本一まではいえなくても、めっき業界、または静岡県の製造業で女性活用の1位といえる可能性がある。

さらに分かったのが、これまで取り組んできた多くの施策が「女性」という糸でつながっていたことだ。
女性を採用しやすくするために工場や食堂をきれいにし、柔軟に働く時間を決められて休みが取れる仕組みを整備した。

女性が増えたことで社員の環境志向が高まり、女性職人の発案による独自のめっき技術も生まれた。
さらに女性技術者が開発した商品の営業では取引先からきめ細かい対応を評価された。そんな好循環に入ったのである。

あなたの会社は未来に向かって一貫した戦略を描いているだろうか。
もしそうでなければ、ホームページの改善から始めるとよいだろう。

会社の頑張りが報いられる内容に変えていく。
すると、その過程で会社を未来に向ける糸をつむぎだせるかもしれない。

今はその絶好のチャンスだ。

 

 

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