アンバサダー連携のススメ ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」23/1/30号

2023/2/6

2022年までの集客戦略で重視されていたのは、「ザ・モデル」だ。
見込み客をリピーターにするまでのプロセスを数値管理して再現性のある方程式を確立する戦略である。

しかし、23年からはザ・モデルだけでは業績をアップするのが難しい。
景気の先行き不安のなか、企業が出費を控えるようになると予測されるからだ。

では業績を上げるために何をすべきか。
私は「パートナーシップ戦略」を提案したい。

パートナーシップを結ぶ相手は、お客様を探し出してくれる協力者だ。

企業提携レベルのような戦略パートナーもいれば、即効性のあるクーポンの発行などで売り上げ増を支援するパートナー、
ユーチューバーのようなインフルエンサー、おすすめの商品を広めるアンバサダーなどである。

売り上げ増やブランド価値向上、LTV(顧客生涯価値)の向上などにつながることから、
世界でもパートナーシップ強化を重視する企業が増えている。

書籍「パートナーシップ・エコノミー」の著者、デビッド・ヨバンノ氏によれば、米国企業の平均パートナー数は173。
セールスフォースは4年後の売り上げを倍にするためパートナー数を25万に、
マイクロソフトは既存の35万に加えて月2500を新たにパートナーにする計画という。

パートナー側の視点で見ても、企業とパートナーシップを結ぶメリットは大きい。
最近は副業の促進が進んだことから、副業をするビジネスパーソンなどが、収入を得られる仕事を求めている。
企業は優秀な人材を確保するチャンスだ。

企業規模を問わず、パートナーシップを結びやすいのはアンバサダーだろう。
ブランドや商品に対して熱心で、高い評価をする人のことだ。

自社のお客様の場合も多い。
その人物が自社商品を推すことで、購入に踏み切れない見込み客が決断する可能性が高まる。

アンバサダーとのパートナー関係を強化するためのポイントは3つある。

1つは「アンバサダーの選定」。
業界、年代、地域の観点から自社が影響力を発揮したい重点セグメントを絞り込む。

アンバサダーは1人だけだと続かないので2人が望ましい。
一つのセグメントで浸透したら、近隣の年代や地域などの周辺セグメントに向かうと、
300%早く、顧客の行動が変わるといわれている。

2つ目は「アンバサダーと何をするのか」だ。
オンラインでもリアルでも構わないので小規模イベントの開催を繰り返すことが重要である。
あらゆるマーケティング手法で、対面で特定の人と時間や空間を共有することが最も反応が良い。

3つ目は、「いかに自由な時間にできる副業を提供するか」だ。
たとえば、自社商品を使い慣れたお客様が顧客に紹介する仕組みをつくり、注文に至ったら謝礼を支払う。
それで収入が増えればアンバサダーもうれしいし、企業側もパートナーが増え、安定的な顧客開拓基盤ができてくる。

パートナーはお客様の獲得にとどまらず、お客様とともに商品やサービスの魅力を紹介してもらい、広めていく。
そんな戦略シフトが今年から始まる。

 

 

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