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社会課題解決に「松竹梅メニュー」 ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」22/12/26号

2023/1/2

「共創」をテーマに掲げたイベントでの話だ。

2人の出演者が、社会課題を解決する素晴らしいプレゼンを行った。
どちらも「つながりましょう」「共創しましょう」と呼び掛け、大きな拍手に包まれた。

しかしプレゼン後は対照的だった。

一人の出演者のもとには名刺交換を求める人々で長蛇の列ができたのに対し、
もう一人は、誰にも話しかけられることがなく、会場をあとにした。

この違いの原因は何か。
私が気づいたことは、ほんの小さな違いだった。

それは「松竹梅メニュー」があるかどうかだ。
松竹梅というと、会席料理などでレベルの異なる料理を用意することを想像するだろう。

私のいう松竹梅メニューとは、社会課題の解決を目指す企業やNPOが、関わりたい人や企業に対し、
労力や価格の異なる関わり方を3つ用意することだ。

私が理事を務めるNPO法人「学修デザイナー協会」を例に説明しよう。
教員が集うNPOで、子どもの探究学習において、企業に共創を呼びかけている。

企業側は、学校への出前講座などで貢献したいが、二の足を踏む企業も多い。
勝手がわからないからだ。

学習指導要領に沿って培ってきた学校のルールや文化を理解した上で参加しないと、
教育現場を荒らすことにもなりかねない。

この問題を解決するのが「松竹梅メニュー」である。

たとえば、「梅」メニューは活動に参加したい企業に対して受け入れ側が最低限のサポートをする。
出前授業をする前に、公教育に関わるうえでの手引書や講座を提供するのは一例だ。
授業の組み立てなどは参加希望企業に行ってもらうので、参加費は無償もしくは、低く抑える。

「竹」は、参加希望企業にパターン化されたサービスを提供する。
具体的には出前授業を展開するためのテンプレートを用意し、
それを元に、受け入れ側と参加側が共同で授業を完成させる。

「梅」と比べ、受け入れ側の労力がかかるが、多くの受け入れ希望があっても対応しやすい。
ある程度の参加費もいただく。

そして「松」はフルオーダー。
受け入れ側が、参加希望企業にヒアリングをして出張講座を組み上げ、
授業を必要とする学校のマッチングまで代行する。
受け入れ側にとっては労力も時間もかかるが、その分、企業から多くの参加費をいただくことができる。

このように松竹梅メニューがあれば、企業の事業や規模に合わせた協力関係が構築しやすくなる。
また参加費を求めることで、「共創したい」と言いながら決定権のない人とのやりとりを避けられるわけだ。

社会課題を解決するために共創しましょう、という呼びかけは美しい。
分野を超えた人々が集まりやすいイベントもつくれる。

しかし、具体的な行動を起こすには、
労力や料金を払う意思を持った責任者同士が出会う仕組みをつくることが不可欠だ。

それをエレガントに行えるシンプルな方法が、松竹梅メニューなのである。
ふわっとした共創という掛け声で終わらせるのではなく、きちんと価格を提示することから始めたい。



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