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はっきり言うけど、あんたの生き方、カッコ悪いぜ。
まるで女子高生のバイトみたいに、できないことの言い訳ばっかり、並べているじゃない?
ある意味、天才だね。できないことを見つける天才。
借金も抱えているしぃ、ほかに技術もないしぃ、市場は成熟しているしぃ、直販するのも心苦しいしぃ、勇気もでないしぃ、いまの仕事は好きではじめたわけじゃないしぃ・・。
で、キミの質問は、「この商売を早めに切り上げたほうがいいだろうか」ですって?
ハイ、お答えいたします。
いまのままでは、あんたは、何をやってもダメです。だから、いまのままじゃ、好きなことに、取り組む資格すらないのですよ。どうせ自分の好きなことをやっても、同じように、はじめたとたんに言い訳を並べますよ。
そもそも親に感謝がないのが、オジさんには、許せん。
考えてみてほしいんだが、親子三代続いてきた会社だぞ。いま会社の寿命が一五〜二〇年ぐらいになっているなか、なんと、キミの会社は親子三代一〇〇年近くもやってこられたのだぞ。これが、どれだけ凄いことなんだか、わかっているのかな?
キミがいままで学校にいかれたのも、パソコン使っているのも、嫌な仕事を手伝わされていると被害者意識をもっていられるのも、みんなみんな、キミのおじいちゃんが作った会社のおかげだ。
それを、感謝のひとつもなしに、自分勝手な偉そうなことをほざいているから、ダメなんだ。そもそもキミの会社は餡子の卸売りという衰退産業で、キミのようなやる気のない人間でも養うことができるんだから、業界での信用はあるはず。しかも、昔からの取引先も多いはず。
ゼロから別のことを、一人でやろうとしてみろ。一〇〇年のビジネスの信用なんて、ないんだぞ。キミ自身が信用されなくちゃならないんだけど、まぁ、いまの不満たらたら体質じゃ、誰にも信用されない。自分の人生に立ち向かっていないんだから、女にだって、モテねぇよ。
親子三代も続くビジネスっていうのは、それだけで凄い資産なんだ。ううっ、ヨダレがでそうだぜ。
そもそも・・・
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営業しなくても、既存の取引先がある |
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一〇〇年ちかく続いているという、のれんが使える。 |
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一〇〇年の歴史のなかには、著名人がきっと、その味を評価しているはず。しかも、そちらの取引先が、銘菓として雑誌やテレビに取り上げられたことは多数あるはず。 |
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いままでの信用で、どこよりも、おいしい、とびきりの原料を供給してもらえるはず。 |
しかも、だよ。キミが途方にくれているぐらいだから、現在、日本には同じように、餡子の卸売りで苦労しているところは、たくさんあるはずだ。そういうところの後継者は、もうとっくのとうに、しがないサラリーマン、やっているぜ。
だからこそ、キミの会社には、チャンスがあるんだよね。だってさ、ほかの同業者は、あと数年で、みんな潰れるでしょう。すると、どこが餡子の卸売りを、おいしい、こだわりの餡子をつくるんだよ??
しかもだよ、キミのような二七歳という、バイタリティ溢れた後継者がいる会社なんて、どこにいるんだよ?
「神田先生だったら、この状況をどうやって打開するか?」
だいたい、この質問からして他人に依存しているんだよ。魔法の杖がどこかにあって、それを使えば、人生は薔薇色と思っているんじゃないか?
きみー、そんな甘ったれには、人生は辛い面しか見せないのだよ。辛いところに飛び込んだものに、人生は奇跡を起こすんだよ。
魔法の杖は、そこにあるんだよ。目の前にね。
私にとってみれば、餡子の卸売業っていうのが、そもそも魔法の杖だね。
いったい、その魔法の杖を使えるようになるには、どうしたらいいのか?
まぁキミに答えてやっても、どうせやらないから、答えるだけムダなんだけど・・・
まずは、おじいちゃんが生きているなら、おじいちゃんの話を聞くね。
いったい、どういう状況で、この会社をはじめたのか? そのとき、日本はどんな状況だったのか? 太平洋戦争のときは、とっても大変だっただろうけど、おじいちゃんは、どこに従軍したのか? 戦争後、誰も食っていけないなか、どうやって商売を盛り上げていったのか?
おじいちゃんが他界されているんだったら、お父さんに、同じことを聞くね。
そうするとね、どんな気持ちをもって、キミの家族が餡子屋をはじめたのか、よーく分かるよ。そこには、どんなヒーロー物語よりもかっこいい主人公がいるはずだ。起業家魂が宿っているはずだよ。その起業家魂を引き継ぐことが、キミの仕事なんだ。
そしたら、改めて、墓参りにいくね。私は墓前で、こう誓うね。「いままで、私をお守りいただいて、ありがとうございます。これからは、私がこののれんを守り続けます」
この覚悟ができていないようじゃ、どんなに具体的なことを言っても、馬の耳に念仏だね。
いっとくけど、キミが将来、手がけるようになるのは餡子の卸売りじゃないからね。
食育なんだよ、これからの日本や世界に必要なのは。食を通じて、自分自身について、そして世界について、教えることなんだ。白砂糖や乳脂肪は、身体に悪い。だからロンドンやニューヨークでは和菓子が流行ってきている。そういう世界の流れに、キミが持っている日本の伝統と起業家スピリットを持ち込むんだ。
いまの事業をまわす実力と経験が積めたときに、本当に自分がやるべきことに出会えるんだ。逆じゃないんだ。もちろん命かけてもやりたいことがあれば、それに取り組むのがいいよ。ただね、多くの人は、そんな命かけて取り組むようなことには、はじめから出会えねーんだ。かっこ悪いことから逃げずに取り組んだヤツが、かっこ良くなれるんだよ。
まぁ、いろいろ言ったけど、きちんと親に感謝するんだぜ。それが第一歩だよ。 |