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結論から言えば、心理テクニックで人をコントロールして、自分のエゴのためにお金を稼ぐというのは間違いです。私がそのように教えているという印象をもたれているのであれば、とても悲しいことです。それは表層的な理解です。表層的な理解に留まって、テクニックのみで集客しようとしても、それはうまくいきません。
テクニックによって、心理操作はできます。しかし、それは、ほどなく醒めることになります。相手との信頼関係を裏切る心理操作は長期的にはペイしません。心理操作テクニックで商品を購入させると、顧客が操作されたと気づいたとたん、怒りをぶつけてきます。その攻撃は、売上の何倍ものコストになって、はねかえってきます。
ですから、本来ならば、顧客の心理を、自社の利益のために操作する会社は長続きしない。
そう言い切りたいところです。しかし残念ながら、現実は異なります。
心理操作して、顧客の犠牲のもとに、大儲けする会社もあります。心理操作から覚める前に、売り逃げしてしまえばいいからです。売り逃げまでいかなくても、クーリングオフの範囲を超えた返金・返品は義務ではありませんから、消費者の限度ぎりぎりまでローンを組ませて、販売すればいいのです。その結果、法律の範囲内で利益をあげ、成長を続ける会社があるわけです。
私にとっては、正直、虫唾が走るビジネスです。しかし、儲かります。
ビジネスが伸びるかどうかは、経営者の倫理感や使命感とは関係なく、儲かる仕組みを築けるかどうかにかかっています。ですから、現在、世の中で流行っているビジネス、マスコミでちやほやされているビジネスのなかには、数年後、振り返ってみれば、「なぜこんな狂ったビジネスが受け入れられていたのか」と疑問に思うものも数多くあるはずです。
このように心理操作のテクニックや仕組み構築だけで、儲けることが可能だからこそ、経営者の人生は難しい。功をなすつもりが、罪をつくってしまうことがあるからです。経営者にとって、あまりにも当たり前であるから、誰も言わないけれど、決して忘れてはいけない大事なことを言います。
儲かっているビジネスにも、倫理的に良いものと、悪いものがあります。
儲かっている経営者にも、倫理的に良い人と、悪い人がいます。
「儲かっているから、優良な会社」、「稼げるから、優秀な経営者」と単純解釈してしまうのは、間違いなのです。儲かっているかどうかの軸だけでは、本来、会社は評価できないのです。しかし、アメリカ的な資本主義は、株主利益の最大化を会社の目的と教えてきたために、キャッシュフローを最大化する経営者が人間的にも評価され、英雄視される。そういう虚像を作り出してしまいました。あと数年以内には、こうした極端な効率主義によって、いかに人間性が低められ、いかに地球環境が蝕まれてきたかが本格的にクローズアップされると思います。
さらに状況を面倒にしているのは、あなたがどんなに倫理的に問題があると考えても、すべての会社および経営者が自分は倫理的に正しいと考え、そして社会に役立っていると信じていることです。
先日、オレオレ詐欺で、高校生グループが逮捕されたときの話です。「老人がタンス預金をしているから日本は不況になる。だから、俺達が使ってやったんだ」という理屈をいっていました。罪を犯した本人は、真剣なのです。まわりが何といおうと、自分たちは良いことをしていると信じているのです。
彼らを極端な例として、笑うことはできません。世の中のためだ、と思って頑張っていることが、罪になってしまう。使命感に燃え、善行であれば思いこむほど、知らぬ間に犯罪者になってしまうというリスクがあります。
使命感を持つというのは、強烈な自己催眠状態です。ですから持続性のある推進エネルギーが得られますが、そのエネルギーがいつ間違った方向にいくのか分かりません。ですから経営者は、常に疑い深く、自分が進む方向を確認していかなければならないのです。
「まさか自分のような良い人が、犯罪者になるはずはない。」
本当にそうでしょうか?
松下幸之助は、良い経営者と言い切れるどうか?
もちろん高い精神性により、人類に素晴らしい功績を残したことは疑いようもない事実です。ところが、彼の会社が販売した冷蔵庫やエアコンのために、地球環境が悪化していることも事実であり、あと100年たったら、地球を破壊した張本人になってしまう可能性もあるのです。それはトヨタであっても、ホンダであっても同様です。
価値観の変化が起これば、どんな立派な仕事をしてきても、最大の犯罪者になってしまう。この間まで尊敬された経営者が、極悪人になってしまう可能性があるのです。
倫理的に正しいか正しくないか、白か黒か、正気か狂気かという境目は、悲しくなるほど、曖昧です。経営者とは、そうした二面性のなかで、常に、仕事をしています。だから、怖いのです。
それは、私の仕事においても同様です。
私が独立した1998年は、北海道拓殖銀行や山一證券をはじめとする金融機関が相次いで倒産した直後であり、不況のどん底。零細企業は、何をしても顧客が集まらず、先の見通しがまったく立たない、途方にくれている状況でした。
指南書を求めても、書店に並ぶビジネス書は大企業向け。小さな会社の視点で、即効性のある売上増進策に焦点を絞った本は、ほとんどなかったのです。そこで私は、小さな企業向けに、売上を最短期間であげることを目的にしたマーケティング本を書いたところ、大変な反響を生んだわけです。
そのあとの6年は、自分の予想をはるかに上回る反響を呼びました。会員制コンサルティングを、日本初でやりはじめたのですが、短期間のうちに2万社を超えるクライアントが参加。いまでは当時、創業したての企業が上場したり、サラリーマンが億万長者になったり、異端児が業界のリーダー的なポジションについたりするようになりました。
ところが、こうした「成功」には、良い面と同様、悪い面もあります。先ほども言いましたが、功をなせば、罪も生じるのです。罪の部分について、お話します。
私が教えてきた方法論、感情マーケティングについては、残念ながら、その真意が十分、伝わっているとはいえません。たとえば、
ヒロさんがおっしゃるように、「相手を誇大表現でコントロールし、キャッチーな表現で、売上をあげるのが、感情マーケティングである」と思っている人もいます。それは大きな誤解です。
あまりにも具体的で分かりやすい「売れる表現例」を出してしまったために、そのような間違った印象を与えてしまったことは事実です。その結果、「売れる表現」を、自分の利益だけを考え、倫理的に疑問に思えるビジネスに悪用されたこともあります。これが、私の事実上の、罪の部分です。もちろん「勝手に、悪用した」というのが本当のところなのですが、そうはいっても責任はあると思っています。
感情マーケティングとは、何なのかについては、拙著「あなたの会社が90日で儲かる!」に書いてあります。すでに書いてから5年以上たっておりますが、このところに対する私のスタンスには変わりがありませんので、ここに該当部分をそのまま掲載します。
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誤解されやすいので、もう一度、強調しておく。
この方法が、お客の心を操作しているというのは、間違いである。
むしろ、逆である。
いままでの方法は、お客に、自分本位の売り込みをかけてきた。そのため、あなたとの人間関係をつくることを妨げてきた。
エモーショナル・マーケティングとは、あなたとお客さんの心を、スムーズに繋ぐ方法なのである。そしてあなたの思いを、市場に、急速に伝える。それを、いままでの方法に比べ、何倍ものスピードで達成していく。
このように強力なツールである。
しかし、強力なツールであるからこそ、あなた自身の、心のレベルの高さが問われる。冒頭でいったとおり、商品に自信がもてず、売り逃げしようと考えるなら、使うのはやめたほうがいい。このツールはあなたを破滅させるだろう。なぜなら、急速にあなたの悪評を広めるからね。
しかし、いい商品を販売している自信がある。そして、お客と一生涯の信頼関係を築き、奉仕することに、あなたが生きがいを感じるのであれば・・・
この方法を今日から、実践してほしい。
(「あなたの会社が90日で儲かる!」234ページから) |
ヒロさんは、仕事のために「相手がどきっとするようなキャッチ」を考えようとされているようですが、キャッチーな表現は、私が最も避けてきたことです。先ほどの引用と重複しますが、私が教えてきたことは、「自分本位のメリットを顧客に押し付けるのではなく、顧客の立場にたって、顧客がメリットと感じることをまず表現せよ」ということです。それが、感情マーケティングの大前提です。
確かに、私が感情マーケティングの事例として紹介した表現は、結果として、インパクトのある表現が多かったかも知れません。しかし、私がクライアントに考えた表現を、そのまま表面だけ真似て、自社にあてはめようとしても、うまくいくはずがありません。
たとえば・・・
「●●はまだ買うな!」
「●●にまだ高い金を払いますか!」
というDMやチラシをつくって、私のところに持ってくる人がいると、とてもがっかりします。「もっと深く、考えろ!」と、叱り飛ばしたくなります。
上記の表現を使ったのには、私なりの判断があるのです。
「●にまだ高い金を払いますか!」というのは、そして業界全体の価格帯が高止まりしており、市場がゲリラの出現を必要としているときに、私がクライアントに対してアドバイスした表現です。顧客にとって経費削減が、一番のウォンツであり、購買決定者が男性であったことも大きな理由です。購買決定者が女性の場合には、こんな挑発的な表現は使いません。
「●をまだ買うな!」という表現も同様です。欠陥住宅が社会問題となっていたときに、業界全体に殴り込みをかけるために、良心的な工務店に対して、アドバイスした表現です。この表現は、他社を敵に回すことにもなりかねないのですが、クライアントの経営者の性格および、どれだけ短期間に資金を集める必要性があるのか、という要素を総合判断したものです。この表現を、業界の付き合いを重視する社長が使っても、うまくいくはずがありません。
効果的な表現は、効果的な薬と同じですから、一気に病状を改善しますが、副作用の恐れがまったくないとは言えません。状況状況によって、使い分けるのが当たり前です。ですから本来であれば、テクニックよりも、根本的な考え方を学んでいただきたいのです。私のビジネスに対する根本的な考え方は、私のマーケティング体系をすべて公開した「60分間企業ダントツ化プロジェクト」(ダイヤモンド社)でまとめてあるのですが、真理に近づけば近づくほど、残念ながら読者は難しいと感じ、使ってくれるまでに至りません。
つまり分かりやすい表現は、高い効果を生む反面、多くの誤解を生むということです。逆に、真実にせまればせまるほど、受け取れるレベルにある人が少なくなってしまいます。そこに表現者としての限界、そしてジレンマがあります。
それでは、私自身は、功があれば罪が生じるという、この世の中の矛盾した二面性のなかで、どうバランスを保ちながら、販売しているのでしょうか?
私には方針があります。参考までに、それを明らかにしておきたいと思います。
1.
自己の利益のために、心理操作を目的とする表現を使ってはならない。
結果として、心理的な影響を与える表現を使う場合には、相手がより良い方向にむかって、一歩を踏み出せるようになる気づきを与えるために誘導(ポジティブ・マニピュレーション)することはあっても、相手から奪うために、心理テクニックを活用(ネガティブ・マニピュレーション)することは絶対にしてはならない。
2.教材を通して提供する情報は、購入金額の10倍の価値を顧客に提供することを目標とする。
もちろん、学習ですから、購入者の経験に応じて、受け取るレベルが異なってきます。ある人にとっては、この教材によって、人生が変わったという場合もあれば、まったく役に立たなかったという場合も起こります。
そこで・・・
3.
返金・返品依頼があった場合、事務的に可能な限りスピーディに返品・返金に応じる。
通常の会社の返品・返金は、「返品の際の配送は、お客様がご負担ください」というのが当たり前ですが、弊社は「代金受取人払いで、ご返送ください」が方針となっています。
しかも、ここで社外秘をあえて公開しますが、「返金はご遠慮ください」という教材ですら、返品依頼がくれば、同じ迅速なプロセスで返金しています。それはダビングしてオークションに出品するという犯罪を防ぐことが目的です。
ただし顧客によっては、確信犯罪的に、購入と返品を繰り返す場合があります。商品提供側と同様、商品購入側にも倫理は必要です。相手から奪うという発想を、私の顧客に根付かせることは私の方針ではありませんので、その際には、販売自体を控えさせていただいております。
以上の点だけでも、「クーリングオフに該当しない返品には応じない」という、ノウハウ・ビジネスだから当然と受け入れられてきた慣習を、大きく改善していると思います。
さらに、私の方針としては・・・
4.無料で提供するものについても、内容については妥協しない。
いままで何万円も請求してきたノウハウですら、現在は、無料で提供しています。無料だからといって妥協しているわけではありません。現在、教材を購入したくても、購入できる収入がない人のなかにも、非常に優秀で、才能の芽を出すきっかけを待っている人がいます。その人のために、価値ある情報を無料で提供しつづけています。
私の会社が発行するメールマガジンにしても、一号一号、必ず役に立つ情報を送るように心掛けています。ゴミ箱に捨てられるようなムダな情報を送るのは、私の信条ではありません。無料ですから、誤字・脱字は勘弁願いたいですが、内容については、価値千金の情報を発信するようにしています。
ちなみに、販売規定だけではなく、私の会社には、クレドという会社の信条を表現するものがあります。参考になるかも知れないので、是非、こちらをクリックしてご覧になってみてください。
以上、人生相談という場を借りて、私の考えを述べさせてもらいました。
今回は、 ヒロさんから、こうした率直なご質問をいただけて、とてもよかったです。
たぶん ヒロさんは、私が書いてきたことを、十二分に理解されており、自分のお気持ちの整理のために、あえてご質問いただいたのだと思います。私にとっても、感情マーケティングを誤解し、安易に金儲けをすればいいと考える人が多くなっている風潮については釈然としない気持ちが強くなっており、私自身が見本を示し、覚悟して責任をとっていかなければならないと思っていたところでした。
私にとって、今年は春夏秋冬理論による秋の三年目であり、12年間の総決算の年になります。
ヒロさんのご質問のお蔭で、2005年に向けての覚悟ができました。
心より感謝致します。 |