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今月の実践大賞
神田昌典の人生相談がスタートしました! 
悩み多き人々に人生の指南役神田昌典があなたを
鼓舞するべく”喝”と”エール”を送ります。

スピマニさん (45才・男性)

 

倒産を救ってくれた恩人が、今度は私に助けを求めています。

できれば、決別したいと思っています。どうしたらいいでしょうか?

倒産寸前の私を救ってくれた人に決別したいが、恩をあだで返すようで心苦しい。どう考え、どう行動したらいいのか?アドバイス下さい。

 

20年前にUターンし、父の経営する建設会社に入社。当時すでに6000万の借金がありました。借金返済のため必死に働いた。不動産の免許も取得し多角経営をめざすも、土地分譲に失敗し逆に借金は1億円に膨らんだ。倒産寸前に追い込まれた。

 

「夜逃げ」だけはしたくない私は、知り合いの社長A氏に救いを求めた。私が責任を持って返済するという条件でA氏からの協力を取り付けた。あれから10年。最近の建設不況で後わずかになった借金は再び増加の方向へ。

 

建設業界の将来を考え、事業の転換をはかる事にしました。しかしA氏の本業の低迷もあり、私の目指すビジネスの方向とはかけ離れた「同族経営」の本業を手伝うよう私に要請してきたのです。「残った借金は○君と私で返すものだから」と。もちろん建設会社の借金は私が責任を持って(これからの事業の収益で)お返ししようと思っています。

 

私としては、自分の考えている事業をしたいと思っています。A社長に対する恩は、私が事業を成功させることで返せるという考えと、本業の建て直しに協力し、結果を出してから独立すべきという考えの板ばさみで悩んでいます。

 
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壁にぶつかったら、過去のパターンから学べることはないか、探ってみよう。

「倒産を救ってくれた恩人が、今度は自分のビジネスであなたの助けを必要としている。しかし、いまは、あなたは忙しい。できれば、その恩人と決別したいと思っている。さぁ、どうしたらいいのか?」

これが、あなたの質問の要点なんだけど、同じ質問を小学生にしてみたら、どうなると思うかな?答は明らかでしょ?満場一致で、恩人を助けるべきだと答えるよ。

 

小学生にとっては、当たり前のこと。その当たり前のことが、できなくなっちゃう。そこがビジネスの恐いところなんだな。

 

私も、恩を忘れてしまったことがある。サラリーマンだったころの話。

勤めていた外資系会社が日本から撤退しようとしたときに、私は、なんとか自分だけは居残って、売上をあげようとしていた。ところが東京事務所は閉鎖。売上をあげようにも、上げられない。まさに八方ふさがりだったね。

 

ところが捨てる神ありゃ、拾う神あり。そのとき代理店の社長が、彼の事務所の片隅を、無料で貸してくれたんだ。さらにアシスタントの女性の給料まで、支払ってくれた。

考えられないよね。人の会社の、社員の給料まで払ってくれるんだから。

まさに恩人。あの社長のサポートがなかったら、いまの私はなかったと思う。

 

それだけお世話になったにも関わらず、独立してコンサルタントになって忙しくなったら、私はご挨拶に伺うことすらしなかった。いつかお礼にいこうと思っていながら、忙しさにかまけて、足が遠ざかってしまった。ご無沙汰しているうちに、社長は、ガンで亡くなってしまった。それ以来、恩を返したくても、返せない。

 

生きている間に、感謝を言うべきだった。私は、とても後悔している。

だから、言うわけじゃないけどね。恩は返せるときに、返したいですよ。

ビジネスって、普段、損得勘定でやっているでしょう。儲けるために合理的なことだけをするように教えられている。すると、ある日、突然、とんでもない非合理的なことをやらざるを得ない状況に陥るんだ。

矛盾しているよね。合理的に経営すればするほど、非合理的な出来事が起こるんだから。でも、その非合理的なことに立ち向かい、乗り越えると、事業はさらに発展することになる。いま、あなたは、まさにこのような状況に直面していると思う。だからね、本腰をいれて、A氏の事業に協力すべきじゃないかな?

もちろん自分のビジネスが苦しいのに、人の事業を助けられるか、という板ばさみにされた気持ちは分かるよ。ただね、私には、あなたが恩人の事業を手伝うことを通じて、自分のビジネスでは得られない、とても大きな学びがあるんじゃないか。その結果、いま手がけようとしている新規事業が、より発展するという見えないシナリオがあるように思える。

あなたの人生のシナリオはね、春夏秋冬理論を活用すると、見えてくる。この考え方を活用して、自分の人生を眺めてみると、辛いことの意味がわかり、逆境をプラスに転じやすくなるよ。

春夏秋冬理論は、私が年間2000件以上の経営相談をこなしているうちに、経験則として見えてきた法則なんだけど、その内容を簡単に言えば・・・

 

人生は12年周期で回っている。その12年を3年毎に分けて、春夏秋冬というラベルをつけて区分すると、人生の課題がとてもよく見えるようになる。

 

 

それぞれの季節には、それぞれの課題がある。その課題で学びを得ないと、次の季節でももう一度、同じ学びを繰り返すようになる。

 

 

 経営者にとって、それぞれの季節の課題は・・・

 

冬・・・

方向性を見定め、試行錯誤をすることが課題。このときにあせって仕掛けると、時期尚早で、ビジネスは頓挫する危険性が高まる。

 

 

 

 

春 ・・・

ビジネスの基盤が整備される。積極的に販促をしかけ、ビジネスを育てる段階。

 

 

 

 

夏 ・・・

成長軌道にのって、何もしなくてもどんどん売れる。しかし、そのために管理が追いつかず、クレームが増える時期。管理体制を強化することが課題。

 

 

 

 

秋 ・・・

ビジネスは成長が鈍化。そのために、管理体制がしっかりしていなかった会社では、経営上の矛盾点が露呈しはじめることも・・・。

以上、とっても大雑把に書いたけど、詳しくは、是非、拙著「なぜ春はこない?」(実業之日本社)もしくは、春夏秋冬理論のサイトを是非、読んでね。

この春夏秋冬理論を使って、現在の、あなたの人生の課題を探ってみよう。

まず過去に遡っていくと、あなたの人生のパターンが見えてくる。

20年前を見てみよう。お父さんの6000万円の借金を引き継いだ年だよね。この年は、あなたにとっては、三年間ある春の季節の、三年目。これから、エネルギーが高い「夏」の時期に入るから、入社後は懸命にがんばって、かなり業績は回復したはず。

ところが、その後の秋〜冬の時期に、分譲不動産に手を出したんじゃないかな? それがきかっけで借金が1億円にまでふくらみ、倒産の危機に。その際、A氏の協力が得られて、倒産の危機から救われたのが、また春の季節。その後の10年(夏〜冬の季節)で、1億円の借金をほとんど返した。

 

このように自分の人生を振り返ってみると、あなたには、業績を回復する卓越した能力がある。「恩人が手伝ってくれ」と頼んでくるのも、あなたの経営管理能力を信頼してのことだと思うよ。しかし業績が安定すると、山っ気を出して、詰めが甘くなって、失敗してしまう。

そんなパターンがあるような気がするんだが、どうだろう?

 本来、完璧主義で厳格なあなたが、業績が安定してくると、「やっちゃえー」と目先を考えないで、突き進みやすいじゃないかな? 借金を一億円までに増やした分譲不動産もそうだし、また今度、手がけたいと思っている新規事業も、同じパターンに陥るかも知れない。

もちろん、これは推測だから、それに振り回されるべきじゃないけど、「いま、10年前と同じ失敗をしようとしていないだろうか」と振り返ってみるのは損にならないと思う。

繰り返すけど、あなたにとって、来年1年間は、まだ冬の時期。自分の思ったことをやるために、全力で突っ走る時期じゃない。いまのうちに基盤づくりをして、芽が出る春(2006年)に備えなさい、という時期だよ。ここでアクセル踏んで、新規事業に全エネルギーを注ぎ込むと、品質問題や組織の未成熟等、予想外の問題が起きる危険性がある。

ということはね、恩人から「手伝ってくれ」という呼びかけは、考えようによっては、あなたの山っ気を抑えるための、救助シグナルかも知れないんだ。私はね、この恩人の同族経営に真剣に関わることで、結局、いまあなたが手がけようとしている新規事業は発展すると思う。自分の会社に携わっているだけでは、学べないことを学び、新規事業を展開するうえで、いま見過ごされている点について、この一年でかなり詳細に詰められるじゃないかな?

あなたは同族経営に協力することで、恩人から受けた、恩を返すって思っているでしょ?

それは、違うんだと思います。

あなたの恩人によって倒産を救われたうえに、また、あなたの恩人から、助け舟がきているんですよ。

 

だからね、恩を返すっていう態度で手伝ったら、あなた、人間関係崩すからね。「またご縁をいただいて、ありがとう」という気持ちで、見返りを期待しないで、真剣に頑張りましょうよ。そうやって、相手から受け取ることが上手くなると、はじめて恩っていうのが、めぐりめぐって、社会に返せるようになるんじゃないかな。

 

ところで、あなたには、子供がいるのかなぁ。

危機や障害にぶつかったときに、どういう対応を父親はするか?

それを子供や社員は、しっかり見ている。危機に直面したときほど人間性が現れる危機の際の対応が、あなたの会社や家族の文化となっていくんだよね。

 

私の父親は、零細企業の社長をずーとやってきた。街の学生服屋さんです。

納税番付に乗るほど儲かったときもあれば、資金繰りの悩みを家族に話せない辛い時期もあった。

あるとき父は、なぜか会社の現金がなくなっていくことに悩んでいた。社員が売上の一部を抜いているらしい。

調査の結果、ひとりの社員を疑った。しかし、「あんないい人を疑うなんて!」と社員からは総スカン。

間もなく、確かな証拠があがった。数千万円の横領だった。小さい会社だから、倒産するかも知れない状況。

もちろん警察沙汰だよ。本来だったら、牢屋行き。

でも父は、月々数万円の返済を約束させただけで、後はおとがめなしだよ。なぜなら、その社員は、女手ひとつで、小さな子供をひとりで育てていたから・・・。

これって、合理的? 

むちゃくちゃ非合理的だと思う。でも、ビジネスは覚悟して、非合理的なことをやらなくちゃならないときがある。

 

その父の会社の前にはね、横断歩道があるんだよ。

その横断歩道をね、杖をついた、目の不自由な人が渡ろうとしていた。

それを見た、父はね、店のなかから、一目散に走っていった。そして笑顔で、杖つく人の手を引いてあげていた。

そういう商売人の姿っていうのはね、何よりも、貴重な教育なんだと思う。息子にとっての、そして社会にとってのね。 

 

商売人というのは、損得勘定だけじゃない。

背中を通して、より良い世界になるための生き方を見せられるかどうか。

そうした姿勢が評価されるのが、私には本当のビジネスだと思います。

 

 
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