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「倒産を救ってくれた恩人が、今度は自分のビジネスであなたの助けを必要としている。しかし、いまは、あなたは忙しい。できれば、その恩人と決別したいと思っている。さぁ、どうしたらいいのか?」
これが、あなたの質問の要点なんだけど、同じ質問を小学生にしてみたら、どうなると思うかな?答は明らかでしょ?満場一致で、恩人を助けるべきだと答えるよ。
小学生にとっては、当たり前のこと。その当たり前のことが、できなくなっちゃう。そこがビジネスの恐いところなんだな。
私も、恩を忘れてしまったことがある。サラリーマンだったころの話。
勤めていた外資系会社が日本から撤退しようとしたときに、私は、なんとか自分だけは居残って、売上をあげようとしていた。ところが東京事務所は閉鎖。売上をあげようにも、上げられない。まさに八方ふさがりだったね。
ところが捨てる神ありゃ、拾う神あり。そのとき代理店の社長が、彼の事務所の片隅を、無料で貸してくれたんだ。さらにアシスタントの女性の給料まで、支払ってくれた。
考えられないよね。人の会社の、社員の給料まで払ってくれるんだから。
まさに恩人。あの社長のサポートがなかったら、いまの私はなかったと思う。
それだけお世話になったにも関わらず、独立してコンサルタントになって忙しくなったら、私はご挨拶に伺うことすらしなかった。いつかお礼にいこうと思っていながら、忙しさにかまけて、足が遠ざかってしまった。ご無沙汰しているうちに、社長は、ガンで亡くなってしまった。それ以来、恩を返したくても、返せない。
生きている間に、感謝を言うべきだった。私は、とても後悔している。
だから、言うわけじゃないけどね。恩は返せるときに、返したいですよ。
ビジネスって、普段、損得勘定でやっているでしょう。儲けるために合理的なことだけをするように教えられている。すると、ある日、突然、とんでもない非合理的なことをやらざるを得ない状況に陥るんだ。
矛盾しているよね。合理的に経営すればするほど、非合理的な出来事が起こるんだから。でも、その非合理的なことに立ち向かい、乗り越えると、事業はさらに発展することになる。いま、あなたは、まさにこのような状況に直面していると思う。だからね、本腰をいれて、A氏の事業に協力すべきじゃないかな?
もちろん自分のビジネスが苦しいのに、人の事業を助けられるか、という板ばさみにされた気持ちは分かるよ。ただね、私には、あなたが恩人の事業を手伝うことを通じて、自分のビジネスでは得られない、とても大きな学びがあるんじゃないか。その結果、いま手がけようとしている新規事業が、より発展するという見えないシナリオがあるように思える。
あなたの人生のシナリオはね、春夏秋冬理論を活用すると、見えてくる。この考え方を活用して、自分の人生を眺めてみると、辛いことの意味がわかり、逆境をプラスに転じやすくなるよ。
春夏秋冬理論は、私が年間2000件以上の経営相談をこなしているうちに、経験則として見えてきた法則なんだけど、その内容を簡単に言えば・・・
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人生は12年周期で回っている。その12年を3年毎に分けて、春夏秋冬というラベルをつけて区分すると、人生の課題がとてもよく見えるようになる。 |
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それぞれの季節には、それぞれの課題がある。その課題で学びを得ないと、次の季節でももう一度、同じ学びを繰り返すようになる。 |
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経営者にとって、それぞれの季節の課題は・・・ |
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冬・・・ |
方向性を見定め、試行錯誤をすることが課題。このときにあせって仕掛けると、時期尚早で、ビジネスは頓挫する危険性が高まる。 |
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春 ・・・ |
ビジネスの基盤が整備される。積極的に販促をしかけ、ビジネスを育てる段階。 |
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夏 ・・・ |
成長軌道にのって、何もしなくてもどんどん売れる。しかし、そのために管理が追いつかず、クレームが増える時期。管理体制を強化することが課題。 |
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秋 ・・・ |
ビジネスは成長が鈍化。そのために、管理体制がしっかりしていなかった会社では、経営上の矛盾点が露呈しはじめることも・・・。 |
以上、とっても大雑把に書いたけど、詳しくは、是非、拙著「なぜ春はこない?」(実業之日本社)もしくは、春夏秋冬理論のサイトを是非、読んでね。
この春夏秋冬理論を使って、現在の、あなたの人生の課題を探ってみよう。
まず過去に遡っていくと、あなたの人生のパターンが見えてくる。
20年前を見てみよう。お父さんの6000万円の借金を引き継いだ年だよね。この年は、あなたにとっては、三年間ある春の季節の、三年目。これから、エネルギーが高い「夏」の時期に入るから、入社後は懸命にがんばって、かなり業績は回復したはず。
ところが、その後の秋〜冬の時期に、分譲不動産に手を出したんじゃないかな? それがきかっけで借金が1億円にまでふくらみ、倒産の危機に。その際、A氏の協力が得られて、倒産の危機から救われたのが、また春の季節。その後の10年(夏〜冬の季節)で、1億円の借金をほとんど返した。
このように自分の人生を振り返ってみると、あなたには、業績を回復する卓越した能力がある。「恩人が手伝ってくれ」と頼んでくるのも、あなたの経営管理能力を信頼してのことだと思うよ。しかし業績が安定すると、山っ気を出して、詰めが甘くなって、失敗してしまう。
そんなパターンがあるような気がするんだが、どうだろう?
本来、完璧主義で厳格なあなたが、業績が安定してくると、「やっちゃえー」と目先を考えないで、突き進みやすいじゃないかな? 借金を一億円までに増やした分譲不動産もそうだし、また今度、手がけたいと思っている新規事業も、同じパターンに陥るかも知れない。
もちろん、これは推測だから、それに振り回されるべきじゃないけど、「いま、10年前と同じ失敗をしようとしていないだろうか」と振り返ってみるのは損にならないと思う。
繰り返すけど、あなたにとって、来年1年間は、まだ冬の時期。自分の思ったことをやるために、全力で突っ走る時期じゃない。いまのうちに基盤づくりをして、芽が出る春(2006年)に備えなさい、という時期だよ。ここでアクセル踏んで、新規事業に全エネルギーを注ぎ込むと、品質問題や組織の未成熟等、予想外の問題が起きる危険性がある。
ということはね、恩人から「手伝ってくれ」という呼びかけは、考えようによっては、あなたの山っ気を抑えるための、救助シグナルかも知れないんだ。私はね、この恩人の同族経営に真剣に関わることで、結局、いまあなたが手がけようとしている新規事業は発展すると思う。自分の会社に携わっているだけでは、学べないことを学び、新規事業を展開するうえで、いま見過ごされている点について、この一年でかなり詳細に詰められるじゃないかな?
あなたは同族経営に協力することで、恩人から受けた、恩を返すって思っているでしょ?
それは、違うんだと思います。
あなたの恩人によって倒産を救われたうえに、また、あなたの恩人から、助け舟がきているんですよ。
だからね、恩を返すっていう態度で手伝ったら、あなた、人間関係崩すからね。「またご縁をいただいて、ありがとう」という気持ちで、見返りを期待しないで、真剣に頑張りましょうよ。そうやって、相手から受け取ることが上手くなると、はじめて恩っていうのが、めぐりめぐって、社会に返せるようになるんじゃないかな。
ところで、あなたには、子供がいるのかなぁ。
危機や障害にぶつかったときに、どういう対応を父親はするか?
それを子供や社員は、しっかり見ている。危機に直面したときほど人間性が現れる。危機の際の対応が、あなたの会社や家族の文化となっていくんだよね。
私の父親は、零細企業の社長をずーとやってきた。街の学生服屋さんです。
納税番付に乗るほど儲かったときもあれば、資金繰りの悩みを家族に話せない辛い時期もあった。
あるとき父は、なぜか会社の現金がなくなっていくことに悩んでいた。社員が売上の一部を抜いているらしい。
調査の結果、ひとりの社員を疑った。しかし、「あんないい人を疑うなんて!」と社員からは総スカン。
間もなく、確かな証拠があがった。数千万円の横領だった。小さい会社だから、倒産するかも知れない状況。
もちろん警察沙汰だよ。本来だったら、牢屋行き。
でも父は、月々数万円の返済を約束させただけで、後はおとがめなしだよ。なぜなら、その社員は、女手ひとつで、小さな子供をひとりで育てていたから・・・。
これって、合理的?
むちゃくちゃ非合理的だと思う。でも、ビジネスは覚悟して、非合理的なことをやらなくちゃならないときがある。
その父の会社の前にはね、横断歩道があるんだよ。
その横断歩道をね、杖をついた、目の不自由な人が渡ろうとしていた。
それを見た、父はね、店のなかから、一目散に走っていった。そして笑顔で、杖つく人の手を引いてあげていた。
そういう商売人の姿っていうのはね、何よりも、貴重な教育なんだと思う。息子にとっての、そして社会にとってのね。
商売人というのは、損得勘定だけじゃない。
背中を通して、より良い世界になるための生き方を見せられるかどうか。
そうした姿勢が評価されるのが、私には本当のビジネスだと思います。
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