吉井:神田さんは、本を書いたり、リビングヒストリーを行ったり、週に10名以上もの人と会ったり、会社の中長期的な経営のことを考えたり、本当にたくさんの仕事をしています。これは、1日に数時間捻出するだけではできないことだと思うのですが、何か秘密があるんでしょうか?
神田:秘密は、寝ることです(笑)。これは冗談ですが、しかし実際に、私は毎日8時間は寝ています。20代・30代は、睡眠時間5時間ぐらいのときもありました。こういうときは、与えられた仕事を、能率よくやることが仕事でしたよね。いまは能率よくやることが、私の仕事の質を決めるのではなく、より高い創造性を生むことが私の仕事の質を決めます。ですから、手作業を早くやりたいのか、それとも高い創造性を短時間で生みたいのか、自分の仕事ではどちらが優先されているのかを考えるといいと思います。
たとえば、前者であれば、仕事をABCDに優先順位をつけてやるのが基本です。大事なことは、やる仕事よりも、やるべきでない仕事を自分で決めることです。思い切って、やらない仕事はやらないようにします。
創造性をもった仕事が大事なのであれば、創造性を使いこなす方法を学ぶ必要があります。たとえば、良質な企画を10時間かかって、ウンウン唸りながら生み出す人と、遊びながら30分で生み出す人がいます。当然、後者のほうが、いいわけです。なぜ、遊びながら可能になるかといえば、創造性を生む脳の使い方を知っているからですね。
たとえば、私の創造性を高めるうえで、フォトリーディングと、ジーニアス・コードは不可欠なものになっています。フォトリーディングを使えば、いままで1週間かかる文書の処理が、1日でおわっちゃいますし、ジーニアス・コードを使えば、いままでとても自分には思い浮かばないだろうという、画期的なアイデアが次々と形になってきます。いま私は、連載小説を書いているのですが、連載小説なんか、とてもいままでの自分じゃ、できない仕事です。
ところが、創造性を生み出す方法を知っていれば、次々とストーリーが生まれてきます。これは、ほんとに楽しい体験で、人間っていうのは創造するために生まれてきたんだな、ということが心から実感できます。
吉井:神田さんがエネルギーを、やりたいことや、やるべきことにうまく振り向けられるのは、なぜなのでしょうか?
神田:そうですね。自分ができない、ということを確信しないからではないでしょうか? 人は、新しいことをやる際に、「自分はとてもできない」と必ず自動的に思います。自分ができないことを、確信してしまうし、それを他人に納得させようと努力します。私もそういう感情がでてきます。そういうときに、しかし自分ができないことを確信する理由はないよな、と考えます。そして、確信できないんだったら、ちょっと遊びでやってみよう、と思考を切り替えます。遊びながら、チャレンジする気持ちを持つようにしています。
吉井:なるほど、今回お伺いしたことや、タイムマネジメントのノウハウを参考に、「自分のエネルギー・時間」をどうすれば引き出せるか、ということに思考をシフトさせることが大切なわけですね。
神田:最後に、お話ししたいことがあります。ノウハウは、短時間で成果を挙げたり、個人の経験だけでは到達できないような目標を達成したりする上で、とても役に立ちます。でも大切なことは、ノウハウに頼りきらないことです。ノウハウに頼り切れば、ノウハウに裏切られます。人のノウハウに頼る時期もあれば、自分のノウハウを生み出す時期もあります。
たとえば、私は目標を紙に書く重要性を指摘しています。目標を紙に書くというのは、車でアクセルを踏むようなものです。いままでアクセルを踏んでいなかった人が、踏むことを覚えれば、当然、目的地に早くつくことができます。
しかし、目的地についても、アクセルを踏み続ける必要はありません。高速道路でアクセル踏みっぱなしだと、いつか激突してしまう。うまく行っているのに、さらに目標をかかげたら、行き過ぎてしまうんです。寄り道して、周りの景色を楽しむことに大きな意味がある時期もあるのです。大事なのは、自分で納得したことをやることで、人に頼りきってやることではありません。自分の人生は、自分で歩むからこそ、価値があるのではないでしょうか?
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